2026 CGWORLD.jp
密阿雷市如何被画出来
Alfredo Spadafina ×
前泽圭一 ×
赤木达也
GAME FREAK在CEDEC 2026讲解支撑《宝可梦 LEGENDS Z-A》都市空间的渲染、绑定与Switch 2适配技术。
2026年7月22日(水)〜24日(金)、国内最大級のゲーム開発者向けカンファレンス「CEDEC 2026」が開催された。約200ものセッションが行われた同カンファレンスから、本稿では「ミアレシティがメガシンカ!? 『Pokémon LEGENDS Z-A』の描画技術」の内容を紹介する。
2026年7月22日(周三)至24日(周五),日本国内最大规模的游戏开发者会议“CEDEC 2026”举行。本稿从该会议约200场演讲中,介绍“密阿雷市超级进化!?《宝可梦 LEGENDS Z-A》的渲染技术”的内容。
面向都市空间的高效渲染设计
2025年にリリースされた『Pokémon LEGENDS Z-A(以下、Z-A)』は、数ある『ポケットモンスター』シリーズの中でも、特に挑戦的な作品だ。2013年発売の『ポケットモンスター X・Y』に登場した「ミアレシティ」という1つの街を舞台とし、ゲーム全体がその中で完結するという大胆なつくりになっている。
2025年发售的《宝可梦 LEGENDS Z-A(以下简称Z-A)》是《宝可梦》系列中尤为具有挑战性的作品。它以2013年发售的《宝可梦 X·Y》中登场的“密阿雷市”这一座城市为舞台,整个游戏都在其中完结,结构颇为大胆。
リアルタイム3Dで描画される大きな街を舞台としたゲームは数多い。しかし、『ポケットモンスター』シリーズがそうした方向へ舵を切ったことは、多くのゲームファンを驚かせた。
以实时3D渲染的大城市为舞台的游戏为数众多。然而,《宝可梦》系列转向这一方向,令众多游戏粉丝感到惊讶。
この挑戦を支えるため、ゲームフリークでは様々な描画技術やワークフローの工夫を行なってきた。本セッションでは、その中でも都市空間を支える描画技術について紹介された。
为支撑这一挑战,GAME FREAK在渲染技术与工作流上做了各种努力。本演讲介绍了其中支撑都市空间的渲染技术。
本セッションには、株式会社ゲームフリーク CGテクノロジーラボより、ディレクターの前澤圭一氏、基盤技術セクション技術展開チームリーダーのスパダフィーナ・アルフレド氏、ワークフローセクション セクションディレクターの赤木達也氏が登壇。「ミアレシティ」を支える描画技術について解説した。
本演讲由GAME FREAK CG技术实验室的总监前泽圭一、基础技术部门技术展开团队负责人Alfredo Spadafina、工作流部门部门总监赤木达也登台,讲解了支撑“密阿雷市”的渲染技术。
『Z-A』は、前作『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット(以下、SV)』の広大な自然環境とは打って変わって、1つの都市空間を緻密につくり込む必要があった。
《Z-A》与前作《宝可梦 朱·紫(以下简称SV)》广阔的自然环境截然不同,需要将一座都市空间细致地构建出来。
都市空間特有の3Dモデルの特徴として、スパダフィーナ氏は2点を挙げた。街灯やベンチ、煙突など、座標違いで同一オブジェクトが多数配置されるインスタンスモデルが多いこと、そしてプレイヤーが道を歩いている際には、ビルなどに遮蔽されて見えない描画物が多く存在することだ。この2つの特徴から、Instanced Drawとカリングのしくみが特に重要になったという。
Spadafina列举了都市空间特有的3D模型的两个特征。一是路灯、长椅、烟囱等仅坐标不同、同一对象被大量配置的实例模型很多;二是玩家走在路上时,存在许多被大楼等遮挡而看不见的渲染对象。基于这两个特征,Instanced Draw与剔除机制变得尤为重要。
Instanced Drawは、複数の同一オブジェクトを1ドローコールで一括描画するしくみだ。『Z-A』では過去作以上に活用しているとスパダフィーナ氏は語った。同一グループのオブジェクトは一括描画の対象となり、アーティスト側でパラメータをコントロールできるようにしている。
Instanced Draw是一种用一次绘制调用批量渲染多个同一对象的机制。Spadafina表示,《Z-A》中对其的运用超过以往作品。同一组的对象成为批量渲染的对象,并让美术师一侧能够控制参数。
カリングについては、フラスタムカリングとオクルージョンカリングの2種類を実装。フラスタムカリングはカメラの視野外にあるオブジェクトを、オクルージョンカリングはビルなどに遮蔽されて見えないオブジェクトをカリングするしくみだ。
关于剔除,实装了视锥体剔除与遮挡剔除两种。视锥体剔除用于剔除相机视野外的对象,遮挡剔除用于剔除被大楼等遮挡而看不见的对象。
オクルージョンカリングは、ユニークモデルとインスタンスモデルでしくみが異なる。ユニークモデルはCPU側でバウンディングスフィアを用いてカリングし、インスタンスモデルはグループ単位でCPU側のカリングを行なった後、大量インスタンスのカリングをGPU側で行ない、インダイレクトドローで描画するかどうかの判断をGPUへ委ねている。
遮挡剔除在独立模型与实例模型中的机制不同。独立模型在CPU侧使用包围球进行剔除,实例模型则以组为单位在CPU侧剔除后,将大量实例的剔除放到GPU侧进行,并通过间接绘制把是否绘制的判断交给GPU。
オクルージョンカリングにはHierarchical Z Cullingを採用した。デプスプリパスでオクルーダ(ビルなど遮蔽しやすい大きなオブジェクト)の深度のみを描画し、そのMipmapをGPU側で生成してカリングを行う。
遮挡剔除采用了Hierarchical Z Culling。在深度预通道中只绘制遮挡物(如建筑等容易形成遮挡的大型物体)的深度,再在GPU侧生成其Mipmap并进行剔除。
ユニークモデルにはハードウェアオクルージョンクエリを採用。『Z-A』では4分の1解像度のMipmapを使用することで、十分な効果と軽量なパフォーマンスのバランスを実現した。Switch 2では非同期コンピュートへの移行により、さらに軽量化できたという。
独立模型采用了硬件遮挡查询。在《Z-A》中使用四分之一分辨率的Mipmap,从而在足够的效果与轻量的性能之间取得了平衡。据称在Switch 2上通过转向异步计算,还能进一步减轻负担。
ポイントライトについてもカリングのしくみを導入している。距離フェードにより一定距離で処理を完全にスキップさせるほか、ステンシルマスクによってポイントライトが実際に計算すべき範囲を絞る手法も採用した。壁に隠れたポイントライトが多い『Z-A』では有効な手法だったとスパダフィーナ氏は述べた。
点光源也引入了剔除机制。除了通过距离淡出在一定距离外完全跳过处理外,还采用了通过模板遮罩缩小点光源实际需要计算范围的手法。Spadafina表示,在隐藏于墙壁后的点光源较多的《Z-A》中,这是有效的手法。
用天空、水面与阴影描绘都市空间的渲染技术
空の表現には天球モデルを採用し、スカイシェーダで昼夜や天候の変化に対応している。雲については、仮想的な平面とカメラの交差点を計算して雲のUVとして使用し、天候に合わせてテクスチャのアルファ閾値を変えることで雲量を調整。さらにRGBノイズを加えることで、より自然な表現を実現した。
天空的表现采用了天球模型,通过天空着色器应对昼夜与天气的变化。云方面,计算虚拟平面与相机的交点并将其用作云的UV,根据天气改变纹理的Alpha阈值来调整云量。此外还叠加RGB噪声,实现了更自然的表现。
大気散乱については、スタイライズ寄りの表現を採用しているため物理ベースにはしていないが、ミー散乱のみ物理ベースで実装した。レイリー散乱とミー散乱のうち、色が単色でアーティストがコントロールしやすいミー散乱を採用することで、夕焼け表現の改善とフォグへの影響という効果を得ている。
关于大气散射,由于采用了偏风格化的表现,因此并非基于物理,但仅对米氏散射做了基于物理的实现。在瑞利散射与米氏散射中采用颜色单一、便于美术人员控制的米氏散射,由此获得了改善晚霞表现以及对雾效产生影响的效果。
水面はフローマップによる流れの表現とスクリーンスペース屈折を採用。リアルタイム反射にはSSR(スクリーンスペースリフレクション)ではなく、レイマーチが不要なSSPR(スクリーンスペースプラナーリフレクション)を採用した。
水面采用了通过流图表现流动以及屏幕空间折射。实时反射没有采用SSR(屏幕空间反射),而是采用了无需光线步进的SSPR(屏幕空间平面反射)。
SSPRはSSRより大幅に低コストで、プラナリフレクションよりも軽量だ。ただし、水面の高さが固定である必要があるという制約があり、高さの異なる川や池が存在するミアレシティでは条件を満たせなかった。そこで、水面の高さを3つのグループに分け、それぞれ異なるSSPRテクスチャを参照する実装で対応した。
SSPR的成本大幅低于SSR,也比平面反射更轻量。不过它存在水面高度必须固定的限制,而在存在高度不同的河流与水池的密阿雷市中无法满足这一条件。因此,通过将水面高度分为3组、分别引用不同的SSPR纹理的实现方式加以应对。
影の表現については、通常のカスケードシャドウマップ(CSM)では距離が伸びるほど負荷が増大するため、CSMと事前ベイクによる影を組み合わせた。数十メートル先まではCSM、それ以降はベイクした影を使用することで、遠距離まで情報量のある影を実現している。
关于阴影的表现,由于普通的级联阴影贴图(CSM)随着距离拉长负载会增大,因此将CSM与预先烘焙的阴影组合使用。数十米以内使用CSM,之后使用烘焙阴影,从而实现了到远距离仍保有信息量的阴影。
ベイク影は時間帯の変化に対応するため、4方向からベイクした結果を1枚のRGBAテクスチャに格納。ゲーム中は時間帯に合わせてRGBAをブレンドすることで、CSMと同様に動いているように見せている。
烘焙阴影为了应对时间段的变化,将从4个方向烘焙的结果存入一张RGBA纹理中。游戏中根据时间段对RGBA进行混合,从而使其看起来与CSM一样在动态变化。
刷新系列中成为课题的绑定运用
最後は赤木氏がキャラクターリグについて解説した。まず、『ポケットモンスター』シリーズのリグ運用には複数の課題が存在していたという。
最后,赤木对角色绑定进行了讲解。首先,他说《宝可梦》系列的绑定运用存在多个课题。
1つ目は、操作可能なポケモン数に加えてモーション数も膨大であること。2つ目は、ゲームの進化に伴って継続的な更新が発生すること。3つ目は、『SV』以前は人物リグとポケモンリグで異なるリグシステムを使用しており、スタッフの学習コストや運用コストが分散していたことだ。
第一,可操作的宝可梦数量加上动作数量也十分庞大。第二,随着游戏的进化会产生持续的更新。第三,在《朱·紫》之前,人物绑定和宝可梦绑定使用了不同的绑定系统,导致员工的学习成本和运用成本分散。
これらの課題を解決するために開発したのが、統合リギングシステム「ポケリグ」。ポケリグは、「誰もがリグをつくることができる」「効率的なデータの再利用」「人物リグとポケモンリグの統合」の3つを柱としている。
为了解决这些课题而开发的是集成绑定系统“ポケリグ”。ポケリグ以“任何人都能制作绑定”“高效的数据再利用”“人物绑定与宝可梦绑定的集成”这三点为支柱。
リグモジュールとビルドシステムにより、機能ごとに分割したリグモジュールを設定するだけで、リグに詳しくないスタッフでもリグを構築できるしくみを実現した。
通过绑定模块和构建系统,只需设置按功能分割的绑定模块,即使不熟悉绑定的员工也能构建绑定,实现了这样的机制。
「リグ生成の中で処理を完成させるということで、リグ生成が終わった後に手作業での作業は基本的に行わない」(赤木氏)という原則により、手作業によるエラー防止と品質の安定化を図っている。
“在绑定生成过程中完成处理,绑定生成结束后基本不进行手工作业”(赤木),通过这一原则,防止手工操作导致的错误并稳定品质。
モーションリターゲットについては、骨構造が異なるポケモン間でも、リターゲット元とリターゲット先のリグからリマップ処理を経てコンバートシーンを作成し、大量のモーションを効率的にリターゲットできるしくみを構築した。ポケモンは2足歩行や4足歩行などカテゴリー分けが可能で、骨構造が異なっていてもモーションの再利用が可能だ。
关于动作重定向,即使在骨骼结构不同的宝可梦之间,也能通过从重定向源和重定向目标的绑定进行重映射处理来创建转换场景,构建了能够高效重定向大量动作的机制。宝可梦可以按双足行走、四足行走等类别划分,即使骨骼结构不同也能实现动作的再利用。
『Z-A』での新たな取り組みとして、人物キャラクターへのポケリグ対応を実施した。キャラクターエディット(服の着替えや顔の変更)については、複数のパーツリグを1つのリグとして組み上げる多段階のリグビルドシステムを拡張して対応している。
作为《Z-A》中的新举措,对人物角色实施了ポケリグ支持。关于角色编辑(更换服装或修改面部),通过扩展将多个部件绑定组合为一个绑定的多阶段绑定构建系统来应对。
人物へのモーションキャプチャ対応では、人物の骨構造は基本的に共通化が可能なため、コンバートシーンを作成せずHumanIKを利用してモーションを変換する方式を採用した。人物リグとポケモンリグで共通のワークフロー・データフローにこだわった理由について、「大量のデータを扱う上で共通のものにしておいた方が運用コストが低くなる」(赤木氏)と語った。
在人物动作捕捉支持方面,由于人物的骨骼结构基本可以共通化,因此采用了不创建转换场景而利用HumanIK来转换动作的方式。关于在人物绑定和宝可梦绑定中坚持共通的工作流和数据流的理由,他表示:“在处理大量数据时,保持共通可以降低运用成本”(赤木)。
以有限成员推进的Switch 2适配
前澤氏は、『Z-A』のSwitch 2対応について、開発体制にまつわる興味深いエピソードも紹介した。というのも、開発当時はSwitch 2がまだ発売前で開示できる情報が限られており、Switch版の開発メンバー全員がSwitch 2の情報を知れる状況ではなかったからだという。
前泽还介绍了关于《Z-A》Switch 2适配的、与开发体制有关的一段有趣插曲。据说这是因为开发当时Switch 2尚未发售,可披露的信息有限,并非Switch版的所有开发成员都能知晓Switch 2的信息。
そのため、限られたメンバーだけでSwitch版の開発と並行してSwitch 2版を開発する必要があった。情報管理と作業環境は厳密に整備され、「施錠可能な会議室を専用の作業スペースとして確保し、常駐メンバー4名と必要に応じて追加で入るメンバーで作業を進めた」(前澤氏)という。
因此,只能由有限的成员在开发Switch版的同时并行开发Switch 2版。信息管理与作业环境都做了严格的整备,前泽表示:“我们确保了一间可上锁的会议室作为专用作业空间,由4名常驻成员,加上按需加入的成员推进作业。”
もちろん、こうした開発体制ならではの課題もあった。管理権限をもつメンバーの中にSwitch 2の情報を知らない人も含まれていたため、初期段階ではConfluenceなどの社内ツールを利用できないケースも発生した。
当然,这种开发体制也带来了特有的课题。由于拥有管理权限的成员中也包含不知道Switch 2信息的人,初期阶段出现了无法使用Confluence等公司内部工具的情况。
後に管理権限の整理によって解消されたものの、そこまでには数ヵ月を要したという。「今後こういう一部の人しか知らないという情報を扱うことを想定している会社は、あらかじめ管理者の整理を行なっておくとよい」と、前澤氏は語った。
虽然之后通过整理管理权限得以解决,但据说为此花费了数月时间。前泽表示:“今后预计会处理这种只有一部分人知道的信息的公司,最好事先把管理者梳理好。”
こうした状況を踏まえ、開発効率化のため、Switch版の環境を基にSwitch 2版を自動生成するスクリプトも作成した。
考虑到这种情况,为提高开发效率,还制作了以Switch版环境为基础自动生成Switch 2版的脚本。
Visual Studioのソリューションファイルの置換、Switch 2版ライブラリへの差し替え、システムで管理するテクスチャフォーマットの切り替えなどをスクリプト化。さらに、Switch 2版のデータが誤ってプッシュされないようGitの設定も行ない、Switch版をベースにSwitch 2版をデイリーで自動生成するCI環境を整備した。
将Visual Studio解决方案文件的替换、向Switch 2版库的替换、系统管理的纹理格式切换等脚本化。此外,还进行了Git设置,以防Switch 2版的数据被误推送,并整备了以Switch版为基础每日自动生成Switch 2版的CI环境。
テクスチャについては、マスターデータを高解像度で用意し、Switch版はダウンスケールしたものを、Switch 2版はそのままのサイズで出力する形で切り分けた。
关于纹理,则准备了高分辨率的主数据,Switch版输出缩小后的版本,Switch 2版则按原尺寸输出,以此进行区分。
品質向上面では、60fps対応、DLSS、SSAOを実装した。60fps対応については、「試してみたら結構動いた」(前澤氏)とのことで、60fps化で発生したバグを都度修正していくアプローチを採用。DLSSではフェンスの線など細部の描画精度向上が確認でき、SSAOもNintendo Switch 2の処理能力の余裕を生かしたクオリティ向上に貢献したという。
在品质提升方面,实现了60fps支持、DLSS、SSAO。关于60fps支持,前泽称“试了一下发现跑得还挺顺”,采用了逐一修复60fps化过程中出现的bug的做法。DLSS方面确认了栅栏线条等细节的绘制精度得到提升,SSAO也为利用Nintendo Switch 2处理能力的余量提升品质做出了贡献。
本セッションでは、都市空間を描くための描画技術に加え、シリーズ全体のリグ運用、さらに発売前のSwitch 2対応まで、『Pokémon LEGENDS Z-A』を支える技術的な取り組みが幅広く紹介された。ゲームフリークが新たなゲーム体験を実現するために積み重ねてきた技術開発と、その背景にある試行錯誤が窺えるセッションだった。
本次会议中,除了用于描绘都市空间的绘制技术外,还广泛介绍了系列整体的骨骼绑定运用,乃至发售前的Switch 2适配等支撑《宝可梦 LEGENDS Z-A》的技术性举措。这是一场可以窥见GAME FREAK为实现全新游戏体验而积累的技术开发,以及其背后反复试错的会议。